2016 年度学校建設事業 シャラク・サファ高校小学部

完了報告書

事業報告

2017年5月26日報告

1.支援内容

以下の支援を行いました。

① 鉄筋コンクリート構造校舎1 階建て1 棟、12 教室および4 室(図書室、事務室、教員室、備品室)、水洗トイレの建設(5 部屋、うち1 部屋は身体障がい児用)

② 学校備品(教員用および児童用机、椅子、書類棚)の供与

③ 施設維持管理に関するワークショップの実施

2.裨益者数

3、032 名の小学生児童(男子1455名、女子 1577 名)、65 名の小学生教員(男性 20 名、女性 45名)

3.実施の過程

校舎建設工事は2016 年4 月10 日に着工し、竣工式を2016 年12 月28 日に実施しました。また、備品の供与(児童用机いす、教員用机いす及び本棚等)を行いました。その後、アフガニスタンの新学期に合わせ、教員を対象とした校舎の維持・管理研修会を2017 年4 月4 日に実施し、事業は完了しました。

校舎建設工程

① 建設用地の整地、基礎石設置

② 基礎部分の石積み作業(1)

③ 鉄筋コンクリート作業

④ 1 階のレンガ積み

⑤ 基礎支柱設置

⑥ 鉄筋コンクリート作業(2)

⑦ 1 階の天井設置

⑧ 1 階の扉・窓の設置(50%)

⑨ 1 階の漆喰作業

⑩ 床設置

⑪ 塗装

建設工事の実施にあたっては、専門的な作業は業者に委託するものの、基本的には当会が直接、資材調達ならびに施工管理を行いました。コミュニティが一部の建設資材や労働力を提供したり、治安を管理し、資材の盗難を防止したりするなど、住民の参加、協力によって実施しました。

事業運営全体に関しては、所長を東京事務所に配置し、遠隔監理によって事業管理を行いました。

アフガニスタン事務所では、現地事務所副所長1 人、学校建設担当職員3 人が本事業の実施にあたりました。

4.現地竣工式の様子

竣工式は2016 年12 月28 日に教育省副大臣、カブール市教育局、校長、教員、児童、地域住民と当会のスタッフの参加のもと行われました。

コーランの朗読から始まり、アフガニスタンの国歌斉唱が続きました。カブール市教育局長のサイード・マンソール氏は、参加者を歓迎し、日本の支援者やボランティアスタッフ、事業に参加した人たちに対して感謝の意を伝えました。

続いて、教育副大臣のアサドゥラ・モハキク・ジャハニが述べました。「日本はアフガニスタンの教育分野のトップドナーです。私たちは日本の皆様からの協力を決して忘れません。未だにカブールでは多くの子どもが屋外での学習を強いられており、諸外国からの支援が必要です。他の国々が日本に習って、アフガニスタンの教育の発展を支援してくださることを期待しています」。

住民組織の代表のムラ・タウフィク氏は、「私たち住民は、建設中、資材や工事の質をモニターしてきました。この支援は、他の援助団体の鏡となるような、非常に質の高いものでした。日本の市民の皆様に心から感謝します」と述べました。

また、校舎の建設によって、より多くの児童がこの学校に来るようになることが見込まれるので、教員を増やすように、教育局に要請しました。

式の最後に、地域住民と教師によって用意された幾つかのギフトがゲストたちに配られました。

5.事業の効果
①学習環境の改善

シャラク・サファ高校はカブール市内にあり、市の中心部から車で約30 分の場所にあります。2008年に開校され、学校の敷地は住民が提供しました。2009 年にフランス政府の支援によって、24 教室の校舎1 棟、トイレ1 棟5 室、井戸、外壁が建設されました。中学部、高校部まで併設されている共学校です。教室不足のため3 部制を採用しています。他の支援者からの校舎建設の支援の計画はなく、また近隣の学校においても校舎建設支援の予定はありませんでした。

住民は主に小規模店舗の運営、建設労働に従事しています。治安は比較的良く、物資輸送のための道路は特に問題はありませんでした。地域住民は、労働力の提供や資材の盗難防止のためのチェック、工事モニタリングといった協力を行いました。

安全で快適な教室で学ぶことができる小学生児童は、1,128名から2,897名に1,769名増加しました。一方、屋外で学ぶ小学生児童は1,551名から135名に1,416名減少しました。

②就学児童数の増加

小学生児童数は2,679 名から3、032 名(男子1,455 名、女子1,577 名)に、353 名増加しました。その要因としては校舎が建設されることによって、親および子どもの就学意欲が高まり、未就学だった児童が学校に来るようになったこと、他校の子どもが本校に来るようになったことなどが考えられます。これはアフガニスタンには日本のような学区制度がないためです。

6.教員・児童からのメッセージ

【校長先生】

私の名前はファティマで、シャラケ・サファ校の校長です。新しい校舎が建つ前は、更地だったため、生徒及び教員は大変苦労していました。新しい校舎が建設され、安全に児童が学習できる環境が出来、私たちはとても快適に過ごせています。生徒たちは新しい校舎や図書室、また数々の優れたお話の本にとても関心が高く、私たちもその姿を見るのが幸せです。

児童のやる気も日毎に増しています。改めまして、この度のご支援を頂き誠に有難うございます。皆さまからのご支援はアフガニスタンの子供たちにとって大きく、また私どもはこのご支援に応えられる様、今後も努力します。また将来、当校の2 階が建設されることも願っております。

【児童】

僕の名前はファハド・ムラディです。シャラケ・サファ校の 5 年生です。皆さまのこの新しい校舎への建設ご支援に心より感謝します。

以前は、テントや借家で勉強していたため、今は新しい校舎が出来僕たちはとても幸せです。

この新しい校舎には机や椅子もあり、立派な教室で安全に勉強が出来て、僕たちは日本の皆さまに大変感謝しています。

また図書室もお気に入りの場所になっています。この新しい校舎で学習を続け、将来はエンジニアになりたいです。

【児童】

私の名前はマハディサ・ムハムアディで、この学校の 6 年生です。以前と現在の状況は全く違っていて、以前は屋外で勉強しなければならず、暑いときや雨のときには勉強が出来ないことも沢山ありました。

今の新しい校舎は素晴らしい質の教室、机や椅子もあり学習には最適な環境です。

私は勉強を続け、将来エンジニアになることを希望します。シャラケ・サファ校の全生徒が、皆さまからの本校舎のご支援に感謝しています。

また、2 階の建設も希望しております。この度のご支援、誠に有難うございました。

事業写真一覧

女子児童たち

完成した校舎とご芳名プレートの前で

4 年生の男子児童の授業中の様子

3 年生の女子児童の授業中の様子

校舎入口に掲げられているご芳名プレート

全校生徒で新校舎の前に集合

校舎前面

校舎側面

トイレ

事務室

図書室

校舎維持・管理研修

所在地

シャラク・サファ高校小学部

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